第2回 ゴーサイ先生、今さらですがこのコーナーなんですか?~お薬の考え方について。
みんな誰もがずっと健康で、病気や病院とは無縁が望ましいはず。そんな”病院いらず”の健康をどのようにつくるか?医療法人美﨑会・国分中央病院の理事長/藤﨑剛斎(ゴーサイ)が、一人の医師として本音で健康を語るブログ。元職員の株式会社シナプス代表/たけうちが聞き手として、お話をうかがいます。
※このブログはあくまで、ゴーサイ先生の個人的な意見と経験に基づき構成されるものです。個別の疾病や治療方法について、必ずしもその医学的な正確性や妥当性を保証するものではありません。
■このブログを始めたきっかけは?
― 第2回目でこんな質問は今さら感がありますが、そもそもこのブログ/まち医者ゴーサイの健康道、なんで始めようと思ったんですか?きっかけはあるんですか?
ゴーサイ先生 ああ、あるよ。目立ちたいから!!
(いえ、もう少し体裁の良い理由でお願いします。人聞き悪いので…)
別に特にあれだけど。医療に従事していくうちに、疑問に思い始めてきたわけ。薬の適切な処方ってどうすればいいんだろう?と。医師である自分自身が実際に病気になったときの経験も大きい。薬に頼らずに、自分の生活で病気をうまくコントロールし、健康な生活を取り戻したという経験も、理由の一つではあるよね。薬って加減次第で体に悪いもの。薬を飲まない人より、薬を飲む人のほうが長生きするって、それはおかしくないかと。服薬と寿命の関係を示すデータ、誰か調べてないのかな。
■薬の出し方に問題ない?
― 私は以前高血圧と診断されたとき、処方箋をもらってクリニックのとなりの薬局に行きました。そこの薬剤師さんが「この薬は、こんなメリットもあるんですよ。」みたいな感じで説明してくれました。あまり内容を覚えていないですが。
ゴーサイ先生 そうだね。国の制度上、説明しなくちゃいけないからね、薬剤師は。専門外である患者さんには、なかなか理解は難しい。だからこそ専門家である医師・薬剤師の責任は重い。そして患者さんに、10年も20年も同じ薬を処方し続けるってことも聞くけど、患者さんもそれは負担に思うのでは。そもそも病気が治らないなんて。やっぱり根本の生活習慣を見直さないと。
最近受け入れて入院した患者さんは、11種類の薬が出されていた。ちなみに、これまで診た患者さんでの最高は、20種類以上の薬を処方されていた。もう処方される薬が10種類は普通だったりする、80歳とか90歳の患者さんで。寝たきりの患者さんでご自身での服薬が難しいとき、胃ろうから薬を入れることもある。ちょっと考えてしまうよね。胃ろうで寝たきりの患者さんで、そんなに薬がいるのかと。血圧が140とか150だからといって、寝たきりの患者さんに降圧剤がいるのかな?とか。薬には絶対副作用がある。そちらの懸念や心配も出てくる。
― そもそも、10や20の薬って想像できないんですが。そんなたくさんの薬同士が混ざったときの作用って、調べられるんですかね?どんな副作用があるかとか。
ゴーサイ先生 聞いたことはないし、実際簡単ではない。あと患者さんが複数の医療機関で診てもらっているとき、その医療機関同士がうまく情報共有できるとは限らない。お互いにどんな薬が出されているか分からない時もある。結果として、合わせて10や20の薬が処方されたりする。こういった状況はどう考えても良くない。薬が5種類や6種類でも、個人的には気に入らない。だから薬の処方は慎重になってしまう。実際これまで、患者さんをしっかり診ながら薬を減らしてきたけど、逆に元気になるよ。
一番問題だと思うのは、認知症のおじいちゃんおばあちゃん。医療機関によってはその方に、統合失調症の患者さんに処方する薬を出したりする。そうすると確かに鎮静して落ち着かれるけど、全身の筋肉の動きも落ちる。ただでさえ高齢で筋力も弱ったところにこんな薬を処方したら、管理をちょっと間違えれば一大事。夜眠らないからという理由で処方することもあるらしいけど、それとこれとは別で、処方するのはどうなのか。眠れないものは仕方がない。健康な人でもあることだし。
■薬に頼らない健康
― ゴーサイ先生のその薬に関する考え方って、医師の中で一般的…ではないですよね?日本にいます?そんな医師。
ゴーサイ先生 いるよ!いるけど、多くはないかもね。でも国は政策として薬の処方には慎重になっている、財政的な問題で。いい悪いは別にして。薬は医療機関の正当な報酬でもあるし、そしてまた薬を求める患者さんもいるしね。継続的に処方される薬によって、患者さんとある意味、長いお付き合いができるという面もある。この辺は、オブラートに包んだ表現にしといてね!
いずれにしてもブログタイトルの「健康道」とは、賢く生活習慣を見直すことで、正しく薬に頼らず、健康を維持しましょうということ。薬に頼った見せかけの健康じゃなくてね。